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失礼とはなにか

同窓会の役員になったのは、

いまから10年前である。

 

まだ、岸田会長のときで、わたしは、

その次の年の会長候補として会議に出席していた。

 

 

 

5年にいっぺんの総会があって、

そのあとの懇親会は、日本酒はどうするか、

とか、お菓子は風月堂がいいか、とか、

とにかく、わたしにはどうでもいいことが、

エンエンつづいたのである。

 

 

 

それで、毎月、一回、二時間くらいを費やして、

その会議はくりかえされた。

 

 

 

つまり、どうでもいい時間を、

当時の役員さんと共有したわけである。

 

そして、新参者として、わたしは、

ただだまって、事の成り行きを傍観するだけ、

という、すこぶる退屈な時間をあじわっていた。

 

 

 

何回目の会議だったろうか、

その当時の、会計さんと書記さんが、

「わたしたちは、ことしで辞めさせてもらいます」

と、強い口調でおふたりが言い出した。

 

 

 

岸田会長は、「そうですか、もうすこしお手伝いいただけませんか」

と、柔和な口調で、やや首をかしげながらお話しになったのだが、

 

「いえ、とうてい無理です。辞めさせてもらいます。

この仕事はだれだってできますから」

 

 

「そうですか、辞めるんですか」

 

 

「はい、辞めます、だれでもできる仕事ですから」

と、会計さんと書記さんは口をそろえて、

なんども「だれでもできる仕事」を繰り返した。

 

 

ずっと、だんまりを決めていたわたしなのだが、

この「だれでもできる」にはどうしても一言、

もうしあげたくなったのだ。

 

わたしは、重い口を開いて、こうもうしあげた。

 

「だれでもできるなら、みなさんでもできるんじゃないですか」

と。

 

 

と、このお二人は、すこし黙ってから

「まぁ、失礼なことをおっしゃるのね」

と、ご立腹のご様子だった。

 

 わたしの一言が、いけなかったのだろうか。

 

 

 

 

こういうふうに、わたしは、その場で、

言ってはいけないのか、あるいは、ふさわしくないのか、

そういう失言めいたことが多々ある。

 

 

 

PTAの会長をしていたころ、毎月、運営委員会というのがあって、

わたしはほとんど出席していた。

 

 

小学校では、アルミ缶を回収して、それで多少なりとも、

PTAの財政を賄おうとしていたときである。

 

 

ある役員さんが、学校の校門にビールの空き缶が

たくさんあるのは、教育上よろしくないのではないか、

と言い出した。

 

 

 

でも、アルミ缶とといえば、ほとんどビールや発泡酒である。

それをNGにしたら、アルミ缶などほとんど集まらない。

 

 

 

 

じっさい、数年かけて、アルミ缶だけで7万円を

集めた実績があるから、おいそれとやめるわけにも

ゆかないのである。

 

 

で、わたしは、会長の席から20人くらいの出席者にむかって、

こうもうしあげた。

 

 

 

「ビールの空き缶があるってことは、お母さんもお父さんも、

家で飲んでいるという証拠であって、いちばん困るのは、

外で飲んで帰ってこないお母さんじゃないんですか」

と。

 

 

そのとき、となりにすわっていた中村副校長先生から、

「会長、まあ、まあ」と手で制されたものだ。

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

カーサ大岡山というマンションの一階の店舗を

貸しているのだが、下水のことで管理会社ともめたときだ。

 

電話で、管理会社の担当の女性と電話することがあった。

 

 

なにを話したか失念しているが、

とにかく、その女性は悪評高いお人柄で、

そのときも、カチンとくるなにかを言ってきたので、

「ちょっとまってください、あなたが言ったことを

メモりますから、ね。言質とっておきますよ」と、

わたしが言ったら、その女性は、電話のむこうで、

「はい、わたしもこれを録音していますから」と、

売り言葉に買い言葉、そういいかえしてきた。

 

 

で、「じゃ、もう仕事がありますから、

あとで電話ください。わたしの携帯は、

090-36・・・・・」と、ものすごい早口で行ったら、

その女性は、すこし笑いながら「あのね、わたしは

いま外にいるんですよ。そんなに早く言ったら、

わからないじゃないですか」と言う。

 

「ふーん、録音しているんだから、あとで聞き返せば

いいじゃないですか」とわたしが言ったら、

「あなたって失礼なかたですね」と返してきた。

 

 

 

どこが失礼なんだよ。