小学校の卒業式にでる。
「わたしの夢」「6年間のおもいで」など、
一人ひとり壇上にあがれば、
それを、胸をはり、声を張り上げ語る。
おなじみ「サッカー選手」もいれば、
「医者」「パティシェ」「幼稚園の先生」「小学校の先生」
などなど。
ひとり、ひどく喫驚したのは、ひとりの少年。
「ぼくの夢は、ユーチューバーになることです」
堂々と、そう言った。
ユーチューバーって、家に閉じこもっている
ニートとちゃうの。
わたしの認識が古いのか、あるいは、あの少年が新しいのか、
とにかく、時代はかわったんだとおもった瞬間であった。
時代はかわる。
じっさい、蛍の光など歌わない。
「山並みは萌えて・・・」
これである。
わたしは、この歌の途中の「こころふるわせ」の部分がきらいだ。
あれほど、ゆっくり揺蕩うように歌うのに、
なんで、「こころふるわせ」の「こころ」だけ
つまったように歌うのだろう。
ひどく急いて作歌したようにおもえてならない。
そして、もっと意外だったの、卒業生が、
「仰げば尊し」を歌ったことだ。
あの意味、わかるのだろうか。
♪仰げば尊し・・・・仰げばうとうとし?
我が師の恩・・・・和菓子の音?
教えの庭にもはやいくとせ・・・教えの庭にも早い「くとせ」?
「くとせ」ってなにかな。
思えばいと疾し・・・思えばいととし? 「おととし」じゃないの。
いまこそ分かれめ・・・・いまこそ分かれ目?
※この「め」は、「こそ」を受けた推量の助動詞「む」の已然形、
つまり、係り結びである、念のため。
いざさらば・・・「さらば」って何、「サラダ」じゃね?
ま、これは、わたしの小学6年生の脳裏を想像して
みたことだから、ちゃんと理解している子もいるのだろう。
しかし、もう、仰げば、ではないような気もするが、
どうなのだろう。
ところで、小学生にアンケートをとったところ、
卒業式で歌いたい歌ナンバーワンはなにかといえば、
もちろん、仰げば尊しでもなく、蛍の光でもなく、旅立ちの日にでもない。
桜の雨である。
桜の雨という歌が、もっとも人気のある卒業ソングらしい。
で、調べてみたら、この歌の主は、「初音ミク」である。
人工知能がこさえた、アンドロイドみたいな女である。
しかし、いまの子たちには、もっともなじみ深い歌手なのだ。
その歌詞とは、こういうものだ。
♪それぞれの場所に旅立っても
友達だ 聞くまでもないじゃん・・・
うーん、あの厳粛な会場で「聞くまでもないじゃん」
これ歌うのかよぉ。