Menu

お得なアプリでクーポンGet!

店舗案内

センメルヴェィエス反射

19世紀のころのウィーンの話である。

お産で妊婦や子供がなくなることが

多々あったそうだ。

ひどいときには30%の割合で死亡したそうだ。

つまり命がけだったのである。

その原因が感染症のひとつ、

産褥熱という病気で、細菌によるものである。

が、当時は、産褥熱たるものが

なんであるのか、原因がわからなかったのだ。

 

つまり、なんらかの「不運」として片づけられていたのだ。

が、そのとき、ハンガリーのインターンである

センメルヴェィスという若者が

あまりの死者数に疑問をいだき、

医者の手になるお産と

産婆さんのお産と、

その死亡率の統計をとってみたところ、

はるかに医者の手がけたお産のほうが

死者数が多かったことに気づくのである。

 

で、センメルヴェィエスはドクターに

出産のさい、手をよく洗うようにうながした。

と、ほとんど妊婦も子ども無事であったのだ。

 

で、かれは、

お産のときの母子の死亡の原因が

医者の手の汚れにある、と断じたのである。

 

 だが、当時の医学界では、

まさか、医者の不養生による死亡説がまかりととおる

などとは許されることではなかった。

 

 だから、おまえ、なんたることを言うのか、

と、逆に、センメルヴェィエスは病院を

解雇され、あげく、精神病院に送られることになってしまった。

 

精神病院におくられるまでに、

かれは、医者の手の汚れによること

出産時の死亡率の因果関係を

世に問う出版物までだしていたそうだが、

世間には受け入れられなかったのである。

 

その後、精神病院を抜け出そうとしたかれは

けっきょく捕まり、ほとんど暴力的な

制裁にあい命をおとしてしまう。

 

ただしいことを述べたものの

報われない最期であった。

 

世の中というものは、

じぶんが間違っていました、

という宣言が愚鈍の表明ではなく、

知性のあらわれであるという事情が

認知されていないし、

じぶんの致命的な間違いは、みずからの

地位の失脚につながるから、

けっして、それを認めたがらない性情があるのは

周知のとおりである。

 

じぶんのミスをけっして認めないような

心の動きを「認知的斉合性」というが、

まさに19世紀ウィーンでは

それがそのまま実演されいたのである。

 

このように、

いままで常識とされていたこと、

通説を否定る事態に、

それがはたして正しいとしても

受け容れない心的状態を

かれの名にちなんで

「センメルヴェィエス反射」と呼んでいる。