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学研の付録

わたし、小学校のとき、
学研の科学と学習とってもらっていたのね。

 学研の付録が好きで、
太陽が見えるサングラスみたいなのがあって、
あれが好きでね。

 いつも太陽を見ていたの。

 母が、ミキハウスかな、とても
高いスカート買ってくれて、
それを履いて学校行ったのよ。

 それも、太陽が見えるサングラスかけながらね。

 そうしたら、そういうときって
まっすぐ歩けないじゃない。


 そのまんま田んぼに落ちちゃって、
どろどろになったのよ。

 それにレンズもどこかに落ちちゃって、
探しまわってたら、もう、泥だらけで、
学校行かないで、家に戻ったの。


 そうしたら、母が怒って、怒って。

 なんで買ったばかりの服、そんなに汚すのよって。

 あのとき、あ、このひとはわたしを
産んだひとではないっておもったのね。


 
 でも、産みの親なんでしょ?


 そう、たしかにね。
でも、しかたないじゃない、そんなレンズかけてたんだから。


うーん、そうかな。


 そうよ。それをわかってもらえなかったの。


 うーん、たぶんわからないとおもうけどな。


 わたしね、ミツバチの死骸とか好きなのよ。
あの、目のクリクリとしたところとか。

 それからセミの抜けがら。
あれも好き。

 それから、カエルのミイラみたいなのも。
可愛いじゃない。わたし水泳部だったから、
プール掃除はいつも水泳部がするってことになっているから、
水を抜いて掃除するの。そうすると、
そのところにカエルのミイラがいくつもあってね、
それ、みんな持ち帰って、お母さんがくれた宝石箱に
しまっておいたのよ。

 ミツバチの死骸とセミの抜けがらとカエルのミイラ。


 カエルのミイラってどのくらいいたの?


 うーん、20か30くらいいたかな。


 わ、すごいな。

 うん、そうしたら、机から、それ母が見つけて
気持ち悪いからって、ものすごく怒って、
ぜんぶ捨てちゃったのよ。


 わたし、そのときも
このひとは、わたしを産んだひとではないって
おもったの。


 ふーん。ま、捨てるよな。


 そうかしら、子どもって純情だから、
そういうのってほっておいて欲しいわけ。
それがたいせつなのよ。
 そ。このあいだ、先生のところに行ったら、
安定剤ですこし休みましょうって言われて、
わたし、そこで眠ったのよ。

 眠るまで、先生はそばにいてくれて、ずっとよ。
そこで、わたし、なにかをしゃべったんだけれども、
なにをしゃべったかおもいだせないの。

 なにしろ、眠くなっちゃったから。


 そうなんだ。


 そうなの。


 たぶんさ。


 なに?


小学校のとき、
学研の科学と学習とってもらっていて、
太陽が見えるサングラスみたいなのがあってさ、
それ見ていたって話じゃないかな。