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文明と文化

 文明と文化との差異はなにか、
もっとも簡単にもうしあげれば、「破壊」と「保持」である。

 文明とは、なんにもないところから、
構築してゆかねばならない。
黄河文明も、メソポタミアも、
そこは、なんにもない河のそばの砂地であった。

 そこに作り上げられたということは、
砂地からみれば、「破壊」ということになる。


 文化は、守りとおさねばならないもろもろである。
歌舞伎、相撲、演劇、ミュージカル、落語。

 伝統をまもることこそ文化の真骨頂である。


 サミュエル・ハンチントンという社会学者は、
「文明の衝突」で、アメリカとロシアの大国の均衡が
くすれたあとは、
世界七大文明の相互作用によって
世界を規定することを提唱した。

 七大文明とは、

 西欧文明
 ギリシア正教会文明
 イスラム文明
 ヒンドゥー文明
 中華文明
 ラテンアメリカ文明
 日本文明

 の七つとしている。


 ここで、特筆すべきは、
「日本文明」である。一国家、一政府は
この七大文明において、日本文明しかない。


 それだけ、ハンチントンは日本文明を
特別視していることがよくわかる。

 それを、明治書院の「キーワード300」の著者、
大前誠司さんに話したら、
「それ、ハンチントンのリップサービスで、
そうすれば、日本でも本が売れるじゃないですか」って、
言っていたのにはおどろいた。

 かれの慧眼なことは、じゅうじゅうぞんじあげていたが、
そういう見方もあるのかと、舌を巻いたものである。


 村上春樹が、高度文明の最高の美徳は
「無駄」であると言っていたが、
いま「無駄」は、無駄でしかない時代かもしれない。

 税金の無駄遣いは、一昔前なら、美徳だったのだが、
いまじゃ、犯罪にちかいじゃなぃか。それでも、美徳とおもって、
使っている役人もいるかもしれない。


 不倫は文化だ、と言ってのけるひともいる。
真理かもしれない。

おお、それなら、おおいにいたしましょう。
そして、それは守り通さねばならないものである。

 はぐれ雲の主人公など、その典型で、
すこぶる謳歌していた。というより、
あの主人公には、そういう認識はなかったろうが。

 現代は、この文化にかぎり、隠密裏にすべき事情である。

けっして、ひとにばれたり、見られたりしてはならない。

 しかし、もし、不倫によって、
友情に決定的な亀裂が生じたり、
大事な仕事を放棄するようなことが、
あったのなら、はたして文化だろうか。


 密かな恋は保持できるが、失うものも多大である。

 つまり、「文化」にも「破壊」がつきまとう、ということである