かなり前の話なる。
神奈川県平塚市の食肉販売会社の
加工食品を食べたひとが腹痛などの症状を訴えた、
病原性大腸菌O157による集団食中毒で、
11日現在、59人の感染をみた。
入院は、いまのところ9人である。
この会社は、いま、どのような経営をしているのか、
とんとわからないけれども、
「寝耳に水」であったのではないか。
この会社のホームページの冒頭に、
当初は、「指定の温度で調理しなかったため」という
文言が付されていて、みずからの責任の回避を
しているような書き方をしていた。
それもそうだろう。
なにしろ、O157という病原菌は、75度の温度で、
1分加熱すれば死ぬのである。
これが、料理業界の定説で、保健所も、
そういう認識である。
じゃなぜ、メンチカツを食べた59人の方が、
こんなに苦しんでいるのか。
メンチカツを家で調理したとしても、
75度のはずはないだろう。
冷凍食品だから、油の温度は、
おおよそ170℃。
それを5分くらい揚げるわけだ。
O157は、この段階で死滅するはずである。
なぜだろう。おおきな疑問符がわく。
そこで、わたしは、大田区の保健所に問い合わせてみた。
わかい女性の声。
「どのようなことですか」
「いまO157が怖いんですけれども、あれは、
75度、1分で死ぬんですよね」
「はい」
「でも、神奈川のメンチカツで出ましたよね。たしか、
19人」
「いま、もうすこし感染者は増えています」
(あとから知るのだがすでに59人となっている)
「家で調理したとしても、75度1分は加熱してるんじゃないですか」
「ええ、こちらも情報を集めているんですけれど、
冷凍食品ですから、高温で揚げますと、
中まで火が通らないということがあって」
「いやいや、たくさんの方が、それぞれの
家庭で調理して、そのたくさんの方が
おんなじように、感染してるんですよ。おかしいじゃないですか」
「いえ、こちらとしては、
表面だけ色がついていて中まで火が通っていなかったから、
それしかお答えできません」
「うーん、大勢のひとが、おなじように、
表面だけ黒くなって中が75度になってなかったというんですか」
「いまのところ、そうです」
押し問答のような格好になったのだが、
けっきょく、行政の行政的な返答は、
調理の仕方にもんだいがあった、ということらしい。
いま、おもえば、59名、学校でいえば、
やく2クラス分の方が、すべて、同質の調理法で、
つまり、表面だけ揚がっていて、中が75度にならずに、
あわててそれを口にほおばった、という事態が、
はたしてあるのだろうか。
行政は、あるいは国は、もうすこし喫緊の事態として、
冷凍しても、加熱しても、170℃で5分加熱しても、
死なないO157の存在があるんではないか、
そんなことも疑っていいんじゃないかと、わたしはおもうのだ。
病原性大腸菌O157は変態して
不死身になっているのかもしれない。
シンゴジラだってなんども姿を変えているじゃないか。