小学校1年生のとき、「はじめての誕生会」をひらきました。
10月生まれですので、それまでに、
ほかの友だちの「はじめての誕生会」を知っていましたから、
じぶんもそれができると、ちょっとうれしくも、
緊張もしておりました。
テーブルにケーキや料理やお菓子が置かれ、
十数人の子どもたちは、楽しく祝ってくれているはずです。
ところが、わたしが、
ちょっと席をはずしたところ、
その十数人の子どもたちが、
人っ子ひとり、いなくなっているんです。
からっぽの部屋。
わたしは、ひとり取り残された、
なにかいじめられたような、
おいてきぼりの空虚な悲しみを感じ、
そこにたちすくむしかありませんでした。
なんでみんないないんだろう。半べそだわ。
じつは、そのとき東京オリンピックが開催されていて、
東京の空に五輪の飛行機雲が浮かんでいたのです。
みんなは、それを見に、表に出ていたんです。
あとから、みんなもどってきてくれましたが、
五輪の飛行機雲を見に行くとき、
なんで、わたしを誘ってくれなかつたんだろう。
どこかに、あの記憶が
いまのわたしの人格にこびりついている、
そんな気がします。