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返答のしかた

競馬好きのお父さんが
休日に娘を競馬場に連れて行ったそうだ。

「お母さんに聞かれたら、動物園に言った、
そういうんだよ」

 と、口封じである。


 で、いくらか損失を出しながら帰宅。

 「どこに行ってきたの」とお母さん。

 「動物園」

 「なにがいたの」

 「馬」

 「そ。そのほかは」

 「ん。馬」

 「ほかの動物は」
 
 「馬」

 「ちょと、あなた、動物園じゃないんじゃないの」


 ま、こういう話はありがちである。

 これは、またべつの父親の話。

「お父さん、遊園地連れて行って」
と、娘にせがまれ、かれは、いつも、
国道246号線にあるマクドナルドに連れてゆく。

そこには、マクドナルドの庭に大きなジャングルジムがあるのだが、
それを、娘には遊園地とおもわせているらしい。


 住まいは、マンションの6階。部屋は3DKなのだが、
ひとつは、奥さんのグランドピアノが占領し、
ひとつは、父親の釣り道具とレコードでぎっしり、
娘さんの部屋がない。

 「ね、パパ、わたしの部屋が欲しい」
と、娘がいうと、かれは、
「この家、すべてが響子ちゃんのお部屋だよ」と、
そう言っていたそうだ。

 ものは言いようである。

 しかし、ものも言いようではあるが、言ってはいけないこともある。

これは、またべつの話だが、

朝の会議で、ある社員は寝ぼけていて、
ほとんど、その会議の話を聞いていなかった。

 どうも、みな、真剣に悩んでいるようす。


 と、その社員に振ってきたのである。

「君はどうなのかね」

 なにしろ、なにも聞いていないものだから、
なんか、言っておけばいいのだろうとおもい、

 「はい、わたしでよければ、かまいません」
と、無難にその場を切り抜けた。

 無難に切り抜けたとおもいきや、
会議の席で大きな歓声と拍手が鳴り止まなかった。


 「そーか、そーか、頼むぞ」


 いったい、いま、なにが決まったのか、当のご本人さっぱりである。


会議が終わったところで、同僚にこっそり訊いてみた。

「おい、なにが決まったんだ」


 「何言ってんだよ。中国に転勤だろ、お前、いいっていったじゃん」

 かれは、知らぬうちに一週間後の中国転勤が決まってしまった。

 しかし、かれは、ビザもない身であるのに。