もうずいぶん昔のはなしになってしまった。
わが街の、ふれあい通り商店街は、
きょうと明日は盆踊りである。
たくさんのひとでにぎわう。
え、こんなにたくさんのひとが
暮らしていたのかいってくらい、集まる。
いま、屋台が10台くらい作られている。
お好み、やきそば、ヨーヨー釣り、たこ焼き、
どこの祭りにもあるような屋台がならぶ。
なにしろ「ふれあい通り」だから。
商店街の役員さんも、きっとご心労のことだろう。
お疲れさま。
盆踊りの中心が、じつはうちの店の前である。
ここに太鼓やら、スピーカーやらが、あって、
ドアを開けるや、すさまじい音が
店内に流れ込んでくる。
だから、ずいぶん前から、盆踊りの夜は、
店を閉店した。閉店したというより、
閉店せざるをえない状況にあった。
お向かいの店は、むかしスーパーだった。
そのときの役員さんは、
その日だけは5時に閉めてくれと頼みにきたそうだ。
そして、うちのちょうど店のところで、
スイカ割りがはじまった。
さいきんは、スイカ割りを見ていないので、
いつごろから中止になったのかもしれないが、
そのむかしは、やっていた。
もちろん、そのスイカは、そのスーパーなんかで
購入したものではなかった。
なぜって、「ふれあい通り」だから。
すこしむこうにある日本料理屋の店主が出てきて、
商店街理事長に、店の前に、焼き鳥屋の出店は
置かないでくれと頼んでいた。
ということは、去年は、日本料理屋の前に
焼き鳥の屋台があったということだ。
もう記憶も薄いが、うちの店の前では、
ソーセージなんかを焼いていたのではないか。
とにかく、食べ物屋の並んでいるところの道に、
屋台がずらりと並ぶことはまちがいない。
いいんです、それでも。
なにしろ、「ふれあい通り」だから。