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仕事はやり残せ

後顧の憂いがない、というのは
他界するときの、これほどの幸せはないだろう。

 なにかひとつでも心に残したものがあれば、
黄泉路を安くは行きやられじ、と、まあ、こうなる。

 だが、日常生活では、後顧の憂いがあったほうがいいらしい。

つまり、ルーティンワークでも、勉強でも、短歌作りでも、
とにかく、「やり残す」というのが、
心理学的にじつにいいらしいのだ。


 すっかり、「けり」をつけて一日を終えると、
脳がそこで安心する。安心すると、つぎの日のスターターが
なかなか動かず、集中力もままならぬことになる。


 だから、どんな仕事でも、なんでもやり残す。
そうすると、就寝しても、脳の裏側では、そのことが気になり、
寝ながらでも、脳の深部が動いているそうだ。


 それが、明日の集中力に繋がる、と、まあ、こういう図式である。


 「風と共に去りぬ」のスカーレト・オハラの、
「いいわ、明日になったら考えましょう」という名セリフがあるが、
これなど、その典型じゃないか。

 にんげんの知性は「保留」することであるが、
それと類比的である。コンピュータのもっともひとに劣るところは、
保留ができずに、エンエン演算しているところである。
サメなども、目標物がなんなのか、わからない限りは行動しないという。

 「保留」「やり残し」これこそ、にんげんたる所以だろう。

で、こういう事情を、心理学のテクニカルタームで、「ツァイガルニク効果」という。

ソビエトのツァイガルニクというひとが実験した。

 目標が達成されない行為に関する
未完了課題についての記憶は、
完了課題についての記憶に比べて想起されやすい。(以上、ウィキペディア)


 これが集中力を高める処方箋なのだ。

 だからから、わたしは、ここ数年、まだ黒鯛をあげてないのだが、
(つまり未完了課題)、
そのせいで、いつも釣りのことが頭からはなれない。
(つまり想起されやすい)


 なるほど、なるほど。