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ラジオの時間

 大沢悠里のゆうゆうワイドが終了した。



 30年つづいた長寿番組である。
つまり、わたしがまだ高校につとめてまもなくの
放送だったわけだ。

 TBSラジオ、森本毅郎さん遠藤康子さんの
スタンバイが終わりまして8時31分。

 みなさまおはようございます。
大沢悠里です。病気療養中のみなさんも、
どうぞお聞きください。

 きょう、お誕生日の方、おめでとうございます。


 こんな感じで、ゆったりと話がすすむ。

 大沢さんはもうすでに70歳を越して、
まだ余力のあるときに辞めると言っていた。

 この30年間、脳梗塞で入院したときくらいしか、
休んでいないそうだ。入院中に、ほかの患者さんから、
大沢さんのラジオをいつも聴いています、と言われたことから、
毎日、病気療養中の方というひとことが加わった。

 また、あるおばあさんの、わたしはいままで、
いちども誕生日をお祝いしてもらっていない、
というひとことから、誕生日の方、おめでとうございます、
というひとことが加わった。


 すべては、気遣いである。

 そういう気遣いや、ときには、派遣労働者に対するねぎらい、
政府の対応の悪さ、など、こちらがうなづくことをなんども
おっしゃっていた。

 大沢さんの番組には、そういう「教え」があった。

 同じく、土曜日は、永六輔の土曜ワイドラジオ東京が終わったばかりだ。
永さんは、教えの宝庫である。

 粒ぞろいとは、粒がそろっていないこと、
そんなことも教わった。

 永六輔にしろ大沢悠里のしろ、なにかしら与えてくれるものがあった。
それは、人格と地続きである。


 ラジオ番組は、顔がみえない、みえないけれども、
声は、すぐ隣で聞こえてくる。

 そのひとの人格と隣り合わせで聞こえてくる。

 それがラジオの魅力だとおもう。

 いま、土曜日は、永さんに代わって、
ナイツのちゃきちゃき大放送を流している。

 が、残念ながら、ナイツには「教え」がない。

 大沢悠里さんのあとは、伊集院光だそうだ。

さて、はたして伊集院さんに期待できるのだろうか。

 そしてその伊集院さんも降板。パワハラらしい。

いまは、べつのパーソナリティ。聞く気もしない。


 以前、小島慶子が大沢さんのラジオに登場したことがあったが、
そのとき、大沢さんは、ラジオでぼそりとこう言った。


 「しゃべりかた早いよ、お年寄りも聞いているんだから」