多数決の原理については前述したが、

多数決でおそろしいことは、

決議する母胎、分母の質である。

ばかでおまぬけがたまたま一千万人集まって、

いざ、決議っていうことになれば、

とうぜん、答えはばかでおまぬけに決まっている。

地球が回るってことはあるわけないよなあ、

そうだ、そうだ、天体がぐるぐる回っているに

決まっているじゃないか、いいえ、みなさん、

地球が自転してるんですぅ、なんだと、じゃ、多数決だ。

ほら、おまえ以外はみんな空が動いているって言ってるじゃないか、

よし、よっておまえは死刑だ、

という悲劇を我われはじゅうぶん経験してきているのに、

やはり、ばかでおまぬけは、

じぶんが、ばかでおまぬけであることを認めたくないのか、

あるいは、わからないのか、多人数をたよりにするのである。

それで安心するのである。

　とんかつにソースをかけるのはまずいよね。

えっ、なにをおっしゃる。

とんかつにはソースときまっているじゃないですか、

貴殿はいささかあたまがふれたのではないか、

そもそも世の中にはとんかつソースなるものまで売られており、

人びとはそれをばたっぷりとかつのうえにかけて

至福のいたりをかんじているではありませぬか。

だから、それが間違いなんですよ、

油の悪さをごまかすためにいまの

ソースは開発されたのですよ、

だいいち常温で腐らないソースなどどこかおかしい思いませんか、

ええい、うるさい、偏屈なやろうだ、たたっ切ってやる。

そうだあ、そうだあ、殺れ、殺れ。

　ばかでおまぬけな集団は永久ばかで

おまぬけなまま、日々暮らすことになる。

まったくの停滞ムード、のんべんだらりである。

これじゃいけないって、少数派の精鋭たちは、

この国を救おう、のんべんだらりをなんとか奮い立たせて、

しゃきっとした国にしてゆこうとフランス革命の

自由の女神さながらたちあがるのである。

が、いろいろ考えたすえ、このナメクジのような

集団をアジテートする労力と、過去の歴史の失敗、

あやまちをよくかんがみたところ、

まてよ、むしろばかでおまぬけさえいなければ、

この国はもっと簡単にすっきりするのではないかと

精鋭エリートたちはあっというまに気づくのである。

つまり日本国民集団消去、完全デリートする方策を選択したのだ。

１億人の人間をいっきに抹殺する方法のベストはなにか、

村井博士、ひとつお考えを、

といって生まれたのがオームであった。