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人事考課

 ずいぶん前から人事考課がはじまって日常化している。

人事考課とは、学校長が所属教員の勤務を点数化するものである。

その点数によって先生の、兵隊さんのくらいがきまるのだ。

兵隊さんのくらいをきめる基準として、

たとえば、学級経営の積極性や指導力、

問題の少なさなどがあげられているが、

あんまり目に見えないものじゃ判断できないから、

クラス通信の出す回数やその内容なども判断基準にはいる。

だから担任の先生はせっせと学級通信に

名前なんかをつけて家庭に送るのである。

 

 人事考課のなかった職員室は、

上下関係に点数などないものだから、

海洋にいかだでも浮かべているようなおおらかさがあった。

そこでの先生は、じぶんが真の教員とおもって生活していたから、

どしんとかまえ、教頭、校長と対等に向き合い、

おれは現場でがんばってゆく、

あんたらは昇級をめざしなさいよ、

現場と管理職という立場は、

たんなる人生の方向性をしめす座標にしかすぎなかった。

それは「踊る大捜査線」の青島刑事と室井捜査官や

「釣りバカ日誌」のはまちゃんとスーさんの関係みたいに。

 

そんな骨太の先生は、きっと子供たちからは

たのもしい存在であって、その人は、ひとつの法治国家を築き、

その人となりが、そのオリジナリティが子供たちを

育てていったのだ。よきにつけ悪しきにつけ、

その先生の舵取りに任されていたのだ。

が、さいきんはなんにも才能がないのが先生をしているから、

なにしろ2000人を越す先生が戒告処分になっている、

ついにお役所も、じゃ、不適切な先生は配置換え、

なんて法案をすんなり通して、

大岡裁判よろしく一件落着とあいなってしまった。

 と、いままでのスーさんは、こんどは平治の乱の平清盛

さながら、えいえいおー、戦陣の指揮をとり、

働きのいいものに恩賞を与え、悪い者は追放、

すっかり管理職の地位が高められてしまい、

職員室はあっというまの封建時代の縦社会へ移行、

その立場の変容を強いられた。

いままで個人の尊厳の容認されていた先生がたは、

とまどいをおぼえるひまもなく、

単なる一ご家人として校長に仕える身となってしまったのだ。

だから、おのずほとんどの先生がかんじているものは

なにかといえば、脱力感である。