Menu

お得なアプリでクーポンGet!

店舗案内

アナログ人間

 アナログって何だ。

アナログの対義語がデジタル、

そう考えればなんとなくは了解できるが、

唐突にそう言われてもしっくりこない。

 

時計で説明すれば、針でかちかち動いているのがアナログで、

電光掲示板のような数字で表示されるのがデジタルらしい。

 

ようするに、アナログは「連続」、デジタルは「断続」と捉えればよい。

「断続」であるのは、デジタル機器はすべて二進法が作動しているからなのだ。

二進法、つまり、「1」と「0」の世界しかない。

「1」でオンにし「0」でオフにする。

われわれの世界のデジタルはすべてこの二進法で動いている。

ついたり、消えたり、パソコンも携帯も、

あの機械の中で、カチカチついたり、消えたりの信号で

計算したり調べたりしている。

それにくらべ「アナログ」は連続的な動作で

川の流れも、鼻水も、北口榛花のやり投げもすべて

アナログである。

 

アナログ派とデジタル派なんて言葉もある。

人間はいずれかのタイプに別れるそうだ。

ひとはどうも二項対立で認識したがるようだね。

ま、ほかにはマザコン、ファザコン、サド、マゾにも二分できるので、

アナログ派のマザコン、マゾタイプとか場合の数で示せば、

八通りの人種に二項対立的に大別できるわけだ。

話をもとにもどそう。アナログを辞書で引く

「数値を長さや角度、あるいは電流や電圧など

連続的に変化しうる物理量で示すこと」

デジタルは「データを有限桁の数値で表現する方法。

数量を段階的に表すこと」(小学館『現代国語例会辞典』)とある。

辞典レベルでは表現の方法論の違いが

アナログとデジタルの差のようだ。

また時計で説明すれば、アナログは二時五八分と五九分の

途中も長針は指してゆけるが、

デジタルは二時五八分のつぎは五九分以外あり得ないのだ。

しかし辞書どおりの解釈では、アナログ派とは、

物理量で示す人間たちなのか、いいやそうではあるまい。

つまり、辞典レベルと日常の会話レベルとですでに

意味が変わってきてしまっているのである。

辞書と日常の言語のずれはいたるところに存在していて、

ポジティブとネガティブ、あるいはアイデンティティーなど。

辞書で引いて意味を調べても日常の会話や論文の趣旨が

とれないなんてこともあるわけだ。

日常言語において、アナログ派というのは、

時間というもの針で動くのをみないと体感できない人々を

指すのである。

もっといえばコンピュータなどのまったく使えない時代おくれを指すのである。

ぎゃくにデジタル派というのは時間は数字、

すべての最先端の機械を駆使し、

たとえば携帯電話、メール、インターネットを普段から生活のなかに

織り込んでいる時代の先駆的な人々を指す。

アナログ人間はしだい時代に取り残され、

窓際の片隅にひっそりとアンネフランクのように

生き続けなくてはならなくなるのだろう。

 

 

 だいたいアナログなんて言葉自体がデジタル言語なのである。