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乱れる日本語

むかし、石川優子とチャゲのデュエットで

「夏がうわさしてるわ、あなたのことを」

という歌があったが、つぎの箇所がじつに不可解だ。

「ピンボールみたいで気がおけないの」

と、こうくるわけだが、「気がおけない」とは

、文脈で解釈すると、どう考えても心配でたまらない、

そんなところだろう。

つまり、女の子のさわやかなちょっとした

ジェラシーを歌ったように見える。が、しかし、

「気が置けない」とは「遠慮したりする必要がなく、うちとけられる」

と小学館の現代国語例解辞典に書いてあるとおり、

すっかりこころを通わせた相手に対して使う言葉なのである。

ま、辞典の「遠慮したり」の「たり」は並列助詞だから、

この説明もいささか問題は残る。

下手な説明である。それはそれとして、

つまり、あの歌を、言葉数やフレーズのながれを無視すれば、

 

「夏がうわさしてるわ、あなたのことを、

ピンボールみたいで気が気でないのぉ」

 

とやらないといけないわけである。

ただ、歌のながれ、抑揚というのもカンジンなんで、

天下の松尾芭蕉先生でさえ、

「荒海や佐渡に横たふ天の川」と

文法を無視した名句をつくられたので、

あれはホントは「横たふる」が正しいのだが、

いちがいに言葉は意味より、文法より、

漢詩みたいな音律を重視するばあいもあるのである。

が、ふたりの愛ランドはただの勘違いなのだろう。

一旦緩急アレバ、と教育勅語でさえ文法を間違えるのだから、

ホントは一旦緩急アラバだろ、

日本語というのは、江戸時代から、

戦時中の国家から、チャゲまで間違え続けているのである。

 

サザンオールスターズの

「TUNAMI」もちょっと許しがたい。

「ツナミのようなわびしさに」ってなんだい。

どんなわびしさだよ。そもそも「津波」とは、海上に発生した

高波が人家や車を襲う災害じゃないか、

それのどこが、わびしいだ。おそろしいだけだろ。

そして、おまけに桑田は「I  know」と続ける。

どうして知ってんだよ。

津波のわびしさを、おまえは、どうして知ってんだよ、

どうしてだ、と激怒したくならないか。

だから、これから、こうやって歌って欲しい。

「ツナミのようなわびしさを  

Tell  me  教えてよぉぉぉぉ」と。