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まじめな食レポート その3

 じっさいに、道具をつかっていらい

人間は地球の外側で暮らしているという考量がある。

それは、永久に残る廃棄物を出すとか、

また、ほかのすべての動物とちがい、

ことごとく自然回帰できない存在だからである。

その点、諸動物や植物は地球の内側で生きていて、

自然のなかに込みこまれている。われわれは、

外側から地球を眺めることは容易だが、

やはり、食文化をかんがえるうえで

地球の内側から考量するという精神が

ひつようではないだろうか。ひとには、

それぞれの価値観の相違があるから、

つまりクオリアの体験質におよべば、

なにが正しく、なにが間違っているのか、

それを判断するのをむつかしい。

となりのひとが見ている夕焼けの色と、

じぶんの見ている夕焼けの色とがおなじが

どうかわからないという事情がクオリアの

体験質の要諦なのだが、

その価値観の相対的なことを鑑みても、

つまりは、快適で幸福な生活をのぞむことには全世界かわりはないはずである。

 

 今のひとに「不幸ですか」と聞くと

「いや、そうでもない」。「では幸せですか」と聞くと、

やはり「そうでもない」と答える人が多いようである。

幸せとはなにか、という問いに、

いまの世の中の閉塞感をどう対処するかという

根本的な問いの答えが要求されるだろう。

システムが増大し、むしろ人間がノイズとなってしまい、

つまりシステムの奴隷となっているような現実に、

はたして幸せはあるのか、というラジカルな問いに

答えてくれるひとはいない。

では、その荒涼とした世の中にすくなとも

食文化で補えるものがないか、

そういう一歩、一歩もひつようなのではないだろうか。