この法律をささえているものが「憲法」です。
立憲主義を実現するための最高法規です。
イギリスなどは憲法典のない国で有名ですが、
日本では、戦後、アメリカの手を借りて
新憲法がつくられました。民主主義のもとに、
基本的人権の保障と国民主権をさだめ、
三権分立による国民の自由と平等、
平和をまもるということが前段にあります。(三原則です)
その憲法のおおきな三つの柱ですが、
一つは、過去の国家権力のあやまち、
三大失敗にたいする安全装置として機能します。
それは、戦争、独裁、人権侵害の三か条です。
どこかの国はこのほとんどが守られていないような気もしますね。
二つ目が、世界にたいする宣言、
いわゆる外交宣言です。国際社会において
「わたしたちの国は、人権をまもっていますよ」と
掲げておくのです。でないと、まともな国にはおもわれませんから。
三つめが、その国の歴史の物語の象徴をかたります。
アメリカは独立の歴史が憲法に象徴されていますから、
オリジナルを大事にします。
ファンディング・ファーザーがアメリカを作ったのだ、
という事情を大事にするからです。
フランスではフランス革命を、
ドイツではナチス独裁の反省を象徴しています。
我が国のばあいは、人権や民主主義への解放なのか、
敗戦の歴史なのか、どちらの物語を採択するかは
立場によってちがってくるところがやや
むつかしいところです。
つまり、ある人びとに、
敗戦の歴史の屈辱からまぬがれたいから
憲法を改訂しようとする流れがあるのは
このへんの事情によるものです。